2023年に引き続き、2024年度も人的資本経営の研究会、「人的資本経営研究コンソーシアム」が開催されることになりました。全8回の開催を予定していますが、第1回の研究会が2024年5月16日(木)に慶應義塾大学三田キャンパスにて開催されました。
今回は、全体のオリエンテーション的な位置づけもありながら、機関投資家であるラザード・アセットマネージメントの福田様よりご講演もいただきました。
1)人的資本研究に関する学術的研究最前線
慶應義塾大学 総合政策学部教授 保田 隆明
研究会の座長である保田先生より、人的資本経営及び研究会の全体像について、学術的な観点からご紹介しました。人的資本経営と企業のパフォーマンスについては一番気になるところですが、様々な研究からも、人的資本経営は業績や株価に良い影響を及ぼすことが分かってきているようです。
また、人的資本経営を「開始」、「実施」、「管理改善」の3つのフェーズに分けてみた場合にキーワードとなる「パーパスの設定」、「多様性」、「リスキリング」、「エンゲージメントの向上」等について、幅広く今後の研究会のテーマとして取り扱ってまいります。
2)日本の人的資本経営がいま問われていること
パーソル総合研究所 上席主任研究員 佐々木 聡様
研究会の共同座長である佐々木様より、人的資本経営の現在地として、最新のトレンドをご紹介いただきました。2024年は中小企業まで人的資本経営が広がっていき、実践スタートの年になりそうです。
そんな中、やはり一番重要なのは、2023年から引き続き、「経営戦略と人財戦略の連動」です。パーソル研究所の調査において、「経営戦略と人財戦略の連動ができていない」と回答した企業が4割だそうですが、佐々木様の実感値では6~7割はできていないのではないかとのことでした。非常に重要ではあるものの、対応に苦慮している企業が多いのが現実ですので、今後の研究会で深掘りしていきたいテーマです。
3)評価される統合報告書-2023年度版を読み解く
ラザード・アセットマネージメント シニアヴァイスプレジデント・ポートフォリオ マネージャー/アナリスト 福田 智美様
福田様からは、統合報告書に関して企業からよく受ける質問とその回答について、機関投資家の立場からお話ししていただきました。「なぜ統合報告書が必要なのか?」、「本当に投資家は統合報告書を読んでいるのか?」、「どこまでの開示が必要なのか?」等々、企業が本当に知りたいと思っていることについて、教えていただきました。開示範囲の最新のトレンドに関するお話しは、特に参加企業様にとって参考になったのではないでしょうか。
また、どういった統合報告書が評価されるのか、日経統合報告書アワードの審査員を務めていらっしゃる福田様ならではの興味深いお話しもお聞きすることができました。
福田様からのご講演のあとは、「人的資本開示における悩み事はありますか?」という問いについて、グループでディスカッションしていただきました。第1回目の研究会ということで自己紹介などもしながら、自社の状況について意見交換していただく有意義な時間となりました。
4)参加企業各社の現在地の発表
参加企業14社
研究会に参加していただいた14社全員に、「参加の動機」や「研究会で学びたいこと」、「自社の人的資本経営の取組み状況」について、発表していただきました。人的資本経営の取組み歴や、取組み内容は様々ですが、みなさま高い志を持って集まっていただいていることが分かりました。これからたくさんの学びを得ていただき、参加企業様同士の横のつながりを作っていただければと思います。
5)アカデミア陣の紹介
本研究会にご参画いただくアカデミア陣より、自己紹介及び研究内容の紹介をしていただきました。先生がたには、今後の研究会でそれぞれの研究について詳しくお話ししていただく予定です。
次回、第2回は6月18日(火)に開催予定です。メインコンテンツは、Unipos株式会社の田中社長によるご講演「日米徹底比較、人的資本経営」と人的資本経営ワークショップです。また、パーソル総合研究所・パーソルホールディングスより、人的資本経営の開示に関するお話しもしていただく予定です。お楽しみに!
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