2023年10月20日(金)に、第4回目の研究会が慶應義塾大学三田キャンパスにて開催されました。今回は、研究会の参画企業である電通様からもご講演いただきました。
1)ハイブリッドワークと⼈的資本経営
「未来の組織と働き方:人的資本経営とハイブリッドワーク」
慶應義塾大学総合政策学部 清水たくみ准教授
組織とテクノロジーの関係性を中心に研究されている清水先生をお迎えし、人的資本経営とハイブリッドワークの可能性についてお話しいただきました。
清水先生からは、学術・実務両方のバックグラウンドを持つLaurie Bassiらが、人的資本を組織的に活かすための実践について、5つの観点から概念化/指標化した研究をご紹介いただきました。様々な企業における実証結果から、人的資本 経営実践の成熟度と組織パフォーマンスが相関することが発見されたようです。また、清水研究室で実施中の大企業向けのサーベイ調査の速報についても、デジタル組織文化やD&Iの文脈からお話ししていただきました。
また、未来の働き方へのヒントとして、働く場所と時間の関係性や、ハイブリッドワーク導入の効果に関するアメリカや中国の企業における研究結果をご紹介いただきました。
ディスカッションの時間には、自社のハイブリッドワーク実施状況に関してグループメンバーと共有し、現代のテクノロジーに合わせた最適な働き方を模索する上での工夫や課題などについて議論を深めていただきました。
2)企業の未来をつくる、すごい一人ひとり~オーナーシップとアライメント~
株式会社電通 サステナビリティコンサルティング室 福島崇幸様 ・ 田中理絵様
株式会社電通グループ dentsu Japanサステナビリティ推進オフィス 四之宮壮平様
企業の未来をつくるのは、社員一人ひとりの当事者意識(オーナーシップ)と、バラバラではなく一つの方向に向かう(アラインメント)仕掛けがカギになることを、ブランドマネジメントの基本になぞらえて、田中様よりお話しいただきました。人的資本経営においても、すごい一人ひとりのオーナーシップを高める施策単発では投資効果が弱く、アラインメントを生む蓄積=すごい企業文化が求められるというユニークな考え方のご紹介でした。
四之宮様からは、電通グループの経営方針、B2B2S(=Business to Business to Society)についてお話ししていただきました。名実ともにグローバル企業であるために、今の時代に沿った形にパーパスを見直したというお話しは大変参考になりました。
福島様からは、オーナーシップ&アラインメント事例として、企業の無形資産を可視化する新しい設計図「統合諸表」についてご紹介いただきました。統合諸表は、組織内にある色々なバラバラを、パーパスを中心として一目で可視化できる未来設計図です。統合諸表を使って、社員が経営に参画する機会を作られた事例についても教えていただき、活用された企業さんの熱気も伝わってきました。
上記を踏まえたグループディスカッションでは、「社員が自社経営に関心をもち、当事者意識を持つ場がありますか。どんな工夫をしていて、何が課題でしょうか。」という点や「バラバラに能力を発揮するのではなく、1つに向かえていますか。企業の方向性と、社員の判断基準が合うためには何が必要ですか。」という点について、お話ししていただき、研究会参加企業さんの良い事例を発表していただくことができました。
次回、第5回は11月17日(金)に開催予定です。トピックは「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)機関投資家視点から」「⼈的資本情報開⽰ パート2」等です。お楽しみに!
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