2023年8月23日に、第2回目の研究会が慶應大学の三田キャンパスにて開催されました。この日は奇しくも、慶應義塾高等学校野球部が甲子園で優勝を決めた日。研究会の開催時間にちょうど決勝戦が行われ、研究会の途中での優勝が決まりました。お手伝いに来ていていただいていた慶應大学の学生さんたちと一緒に、喜びを分かち合いました。
1)人的資本経営の最前線
Unipos株式会社 代表取締役CEO 田中 弦様
組織におけるカルチャー変革の基盤づくりをソフトウェアとサービスで支援しているUnipos株式会社の田中社長をお迎えし、人的資本経営の最前線についてお話ししていただきました。
田中社長からは、3月決算の2,325社の有価証券報告書をご覧になった上での、日本全体の開示充実度について、教えていただきました。現実は、人的資本開示が充実している上場企業は、調査対象全体の約11%に留まり、開示に熱心ではない企業が50%を超えていたという残念なものでした。
これからどうしていくべきか参考になる人的資本開示に熱心な企業の事例もたくさんご紹介いただきました。一つは、一足飛びに結果を求めるのではなく、目標につながる中間指標の設定をしっかりするということです。
また、人的資本開示の主役は会社ではなく、従業員であることが抜けている企業も多いようです。従業員自身は個人の能力を高め、会社はその環境を整備する、その両方が必要です。そしてその取り組みを開示に繋げていくという順序です。開示は、企業から社会への約束であり、経営の姿勢を示すものですので、真摯に取り組んで行かなければいけないことだと改めて思いました。
田中社長には、後のプログラムにもご参加いただき、色々なコメントをいただきました。ありがとうございました!
2)従業員エンゲージメントとウェルビーイング
パーソル総合研究所研究員 金本 麻里様
続いて、パーソル総合研究所研究員の金本様より、従業員エンゲージメントとウェルビーイングについて、お話ししていただきました。
最近耳にする機会が増えたウェルビーイングについて、そもそも何なのか、なぜ注目を集めているのかから始まり、「仕事におけるWell-being」や「エンゲージメントとウェルビーイングの違い」について理解を深める機会になりました。
パーソル総合研究所と慶應義塾⼤学 前野隆司研究室の「はたらく⼈の幸せに関する実証研究」の結果から、はたらく幸せ実感がパフォーマンスに良い影響を与えることについても教えていただきました。
また、Well-being経営に先行的に取り組んでいる企業の事例もご紹介いただいた上で、研究会に参加している企業さんたちの会社では、どの段階までWell-being経営を進めているかについて、グループで対話をしていただきました。
3)企業戦略と⼈材戦略の連動
パーソル総合研究所上席主任研究員 佐々⽊ 聡
最後は、本コンソーシアムの共同座長であるパーソル総合研究所上級主任研究員の佐々木様より、経営戦略と人材戦略の連動について、お話ししていただきました。
経営戦略と人材戦略の連動についての重要性が叫ばれる中、現実には実現が難しい状況です。上場企業の役員や人事部長へのアンケート結果によると、その4割が経営戦略と人事戦略の連動ができていないと回答しているようで、佐々木様の実感値ではもっと低い印象ということでした。パーソル総合研究所主催の人事研究会において出てきた生の声もご紹介いただき、様々な業界においての苦労や工夫について、知ることができました。その上で、グループ内で自社の現状についてディスカッションしていただきました。
位置づけとしては、企業戦略を推進するための「⼈材戦略」であり、その⼈材戦略を推進するために⼈事機能を⾼度化させるのが「⼈事戦略」ということです。まずは自社の人事体系を書き出して見ることで、何が足りていないか、どことどこの連動がうまく行っていないか確認することから始めることが良いようです。
また、開示については、社外への開示に熱心になる企業が多い中、意外に社内への開示を忘れている企業が多いというお話しが印象的でした。まずは社内からしっかり説明することが大事だということも忘れないようにしたい点です。
次回、第3回は9月14日に開催予定です。「コーポレートバリューアラインメント(経営戦略と組織)」や「⼈材投資に関連した指標と株主価値の関係性」等のトピックについて取り扱います。お楽しみに!
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